左馬 ひだりうま

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写真の将棋の駒は大きさが約30cmの飾り駒を制作しているところです。

あるお客様の弟さまから依頼され、一つは実家を建て替えるお兄さまへ贈り物として、もう一つは解体されてしまうご実家でお兄様と一緒に過ごしたご自身の思い出の品として、解体して無くなってしまうご実家の木材を使って同じ将棋の駒を2つ制作してほしいとのことでした。

新しく建てるご実家に古材や古建具を再利用する工事も予定していました。しかし解体する建物から出る再利用する予定の無い材料は処分されるだけなので、その中から状態の良いケヤキの差し鴨居を選び割れの無い部分を切り出して文字を手掘りで彫刻しました。文字部分には仕上げに黒い漆を塗りましたが、写真は漆を塗る前の状態です。

最初にご依頼いただいた時は、王将と桂馬をそれぞれ彫刻して欲しいというお話しでした。どちらも縁起の良い駒なのですが、私から「左馬」で作ってみてはどうですか?とご提案させていただきました。

左馬が縁起が良いとされる由来にはいくつかあるのですが、ウマが逆向きになるとマウ(舞う)となり、今後の運気が舞い上がる商売繁盛のシンボルだったり、馬は左側から乗るものなので競馬や勝負事に強くなる、などの謂れがあります。この由来を気に入っていただき左馬で二つ制作することになりました。

たまたま御兄弟お二人がそろっているところで納品することになり、まず二つの駒を弟さまに納品し、さらに弟さまから一つをお兄さまへお渡しするところまで同席させていただきました。その場で梱包を開き、お二人に喜んでいただいた時は私も大変嬉しかったです。

古材の建築への利用や家具へのリメイクだけでなく、こういった思い出の品としての再利用のアイデアを増やしていきたいと思います。古材を捨ててしまうのではなく何か作ってみたいとお考えのお客様はなんでもご相談してください。古材を扱う会社として、初めてのことでも出来る限りチャレンジさせていただきます。